たまごや日記

日記だから文章はてきとう。過去の私と今の私の間には別人になるようなエピソードが挟まっているかもしれません。

ひどい母親

 「病院で産んだ子は愛しにくい」。


なんてひどい母親なんだ。
こども本人が大きくなってこれを聞いたらどんなに傷つくだろう。


私はテラを産む時に陣痛促進剤を使った。
前期破水後、一日半経っても陣痛が来なかったためだ。
多くの場合、24時間以内に陣痛が始まるのだが(ルナの時がまさにそうだった)、そうならないときは、下手に陣痛待ちなんかしていると、胎児が感染症にかかったりと危険度が急増するのだ。
(もちろん病院からもそう説明されたし、普通に本屋で買った妊婦向けの本数種で読んだような気がする。)
実際ルナの時は感染予防の抗生剤を飲んだし、テラの時には陣痛待ちしている間ずっと抗生剤を点滴で入れていた。
それでも陣痛が来なかったから、胎児の安全の為に促進剤を点滴で投与した。


いやー、辛かったよ。
痛かったよ!!!
なんというか、内臓を内側からバキバキと押し広げられる感じ、とでも言おうか。
しかもそれは骨も同時に広げてがたがたに緩ませるほどの勢いで。
一気に痛くなって、足を閉じておけなかった。
たまたま病室の物入れにあった大きなクッションが目に入っていたので、あの中にクッションあるからだして!足に挟んで!早く!!!と、相棒に出してもらった。
要は、スクワットでしゃがんだ状態ほどに足を広げていたかった。
しかしそのおかげで程なく子宮口が開き、腰に来るあのずどーーーんとしたこれぞ陣痛のピーク!!という痛みも(歩いて移動中に(泣))来、しかしその最高の辛さはラッキーにも一回か二回で済み*1、普通に自然分娩した。


テラは、陣痛促進剤を使ったので、念のために、つまりもし何かあったときの為に数時間保育器に入っていた。
容態急変などがあれば即処置ができるようにと言うことだったんだろう。
実際は何もなく、その日のうちに新生児室で寝ていた。
私は相変わらず産後はぐったりと動けず、次の分娩もあるということでわりと早く横の陣痛室で休むことになった。
スタッフ二人と相棒とに横になった状態のままで抱えられて運ばれて。
それだけぐったりしていた。
ていうか、出産直後って、みんなどうなの?
ルナの時は、5人連続分娩のトップだったので、産後30分で移動した。
「動ける?」と聞かれてとりあえず動けそうだったので、分娩台から下りたら、そのまましゃがみこみ、足を延ばす体力は無かった。
抱えられて車椅子に座り、ベッドに向かった。
ソルの時は、超スピード自然分娩…はよかったのだが、産後分娩台で休んでいる時に意識が無くなりそうで、横にいたソルが落ちたら危険だし自分もやばいかもと思って相棒にナースコールしてもらい、なんか体が緊張してプルプル震えてしまうこともあり、体の緊張を解くための注射を打たれた。
成分のバッティングがあるのだろう、おかげで後腹の痛み止めは飲めなかった(泣)←むちゃくちゃ痛い。私は常に収縮がいいと言われていたので、きっとすっごく痛い方だったと思う。
当然全く動けるはずも無く、ストレッチャーで移動した。
やはり何かあったら大変だからと言うことで、血管確保した点滴ははずさずにいた。
(分娩は夜日付が変わるより前だった。)
夜中トイレに行きたくなった時に、ナースコールした上でいけるかどうか試そうとしたが、ベッド脇に立ったとたん眩暈がして、また、見る見る顔が青くなったと言われ、やばいと座ったとたん、会陰の傷が痛くて「痛ーい!」と言って、しかし点滴をさしているので気にかけながらパタンと体を横にしてトイレに行くのはあきらめた。
結局まだ危ないからと点滴継続、一晩それで過した。


産後ほんとにへろへろぐったりになってるんだよね、私。
私がお世話になったのはとある医院だけど、院長はキッパリと「不要な医療は行わないが必要な事は行う。」と言い切っていた。
私も相棒も、出産において現代医学とこの先生を最も信用することにしていたし、(というか、他に何を信用しろと?怪しい民間療法?)何か処置をした方が良い時に、その説明をされるたびに納得してお願いしていた。
所謂病院の都合がいいように陣痛促進剤使って計画出産とか、そんな事は全くありえなかった。
実際そういうこと*2はしないと明言されていた。
しかし、母体、胎児に必要な医療行為を、自然分娩バンザイのため引き伸ばすなんてことも無かった。
ソルが過期産寸前で生まれたのだが、予定日を過ぎてからは、長くお腹にいることのリスクや陣痛促進剤のリスクやプロの意見をいろいろ説明してもらった上で、それこそぎりぎりのところまでの選択権は私にあった。


もし次があったとしても、そこで産みたいし、将来ルナソルがこの辺で産むなら、同じとこで産めたらいいなと思うくらい、いいところだ。
分娩台で生むし、母子別室だし、ミルクは使うし、こだわりのお産がしたい人にはシステムだけで却下されてしまいそうだが、スタッフは豊富だし、みんなさばさばてきぱきしていて、しかし精神的に参っている時にはすごく親身になってくれて、本当に救われた事もあるし、食事は美味しいし、でも分娩費用が三回ともトータルで50万円は超えなかったし(当然35万円は余裕で超えたけど。当時は出産一時金は30万円だったけど。)、何よりも良い評判しか聞いたこと無くて自分もそれに大きく賛同できるし。


そして私は病院で産んだこどもたちを、深く愛している。


我が子だからって、一人一人性格も違うし、顔も違うし、相性ってもんもある。
だから、こどもの中で好きな順番ができることだってあるだろう。
育児ノイローゼや親戚の横槍でこどもが愛せない状態になることもあるだろう。
しかし、病院で産んだからって、愛しにくいだなんて……


ひどすぎる。


この世には、病院だからこそ助かった命ってもんも数多くあるだろうに。
三人とも自然分娩だし、ハイリスクになりそうな要因も全く無かったし、実際あれはすべて安産だったと思うんだが、私自身が下手をするとくたばってたかもと思ってしまうので、余計に「病院で産んだ子は愛しにくい」は人でなしの言葉に思える。


こどもは、どんなこどもでも、大切じゃないか。
私(きっと相棒も)は、我が子たちを愛し愛され、幸せにしていると言う自信があるぞ!!
そう言い切れるだけ、こどもは体中でおかあさん大好きーを表してくれているぞ。
もちろん言葉でも。
「病院で産んだ子は愛しにくい」人は、そんな事は思えないんだね。
なんか、親の方も哀れに思えてきたよ……
そんな人に病院で出産した自分を全否定されたからと言って、輸血拒否の宗教と同じだなー、自分とは相容れない世界だなーと思うだけで落ち込みはしないけど、もし病院で生まれた他人の子を貶めるようなことがあれば、断じて許さない。
我が子の為に。
病院だからこそ救われた人の為に。


ああ、もう、ほんとに愛されないとわかっている子が不憫でしょうがないよ…(>_<)
母親で無い誰かが、できれば父親が、その子を十分愛してくれますように。

*1:ソルのときもそうだった。すっごくラッキーなことだと思う。

*2:そういうこと=妊産婦は無視して病院の都合だけで分娩を進める、という類のこと。つまり、病院否定してる人は、病院は全部妊産婦のことを全く考えずに陣痛促進剤使って病院のための計画出産すると言ってるから、それは違うということ。妊婦の負担を軽くするためのさまざまな処置を否定しての表現ではない。念のため。